某死刑事件と私

某大学生生き埋め事件で死刑判決が確定していた死刑囚が自殺したというニュースに驚きました。

この事件が発覚した当時の私は、追起訴待ちで勾留が長期化していた被告人を岡山南警察署に抱えていました。この被告人は、たぶん片手の指では足りないくらいの服役回数を誇って「懲役太郎」を自称していましたが、なんだか憎めないやつで、

「先生、女の裁判官でよかったですわーwwwだって、岡山の女の裁判官って、判決緩いらしいっすわー」

「優しかった女性裁判官は3月に転勤して、貴方の担当になった新しい女性裁判官は、控えめに言って厳しいですよ?」

「そ、そんな・・・殺生なー!?」

「wwwwww」

などというやり取りを愉しんでいました。

ところが、そんな私が懲役太郎に会うために南署へ行ってみたところ、懲役太郎がいつになく真剣な顔で

「先生、なんか大きい事件でもあったんでっか?」

と聞いてきました。懲役太郎いわく、この日は留置担当たちが慌ただしいと思ったらほとんど出払ってしまい、ほとんど空っぽに近い状態となったため、他の被留置者とも

「何かあったんやろか?」

などと噂しあっているのだそうです(噂話自体規律違反の気がするけれど、それを取り締まる人員もいないのでしょう)。

その時の私はニュースを見ていなかったのですが、その後、この事件が報道されて、玉野警察署の管轄での事件ながら、岡山南署どころか大阪府警まで動いていることが分かり、納得した次第です。

こうなると、果たして誰が弁護人になるのかと皆で震えていた国選弁護クラスタでしたが、被告人の身柄が大阪へ送られたと聞き、安堵に包まれたことを覚えています。

その後、芋づる式に出てきた共犯者たちの中に出身高校が同じ者が含まれていた(私の知る限り、私の出身校の出身者の中で、2人殺しは4番目に多い数字です)こともあって、一野次馬として注目していました。その後明らかになった事情では、被害者側にも相当の問題があった事案でしたが、2人を生きながらにして埋めるという殺害の残酷さが響いてか、一審から上告審まで一貫して死刑判決でした。

そんな彼は、死刑確定から約15年執行されていなかった死刑囚ですが、実は日本で20年間執行されなかった死刑囚がその後に執行された例はないことを思うと、果たしてどのような思いだったのだろうか・・・と思う次第です。