龍賀製薬の将来や如何に

「ゲゲゲの謎」では、親族が一堂に集まる中、先代の遺言書を預かっていた弁護士(明言はされていないものの、先代の婿である社長から「先生」と促されていたため、たぶん弁護士なのでしょう)が読み上げたものの、内容に不満な参列者にもみくちゃにされてひどい目に遭うシーンがありました。設定舞台は昭和31年なので、自筆遺言には裁判所における「検認」が必要なのですが、そうした法律面の手続きをぶっ飛ばして「遺言公開とはこうするものだ!」というイメージを日本人のDNAレベルに叩き込んだ横溝正史先生の罪深さよ。。。

ところで、「ゲゲゲの謎」における先代の遺言は、

・「龍賀家の次期当主は長男を指名する」

・「長男は未成年の三女息子を養子とし、三女息子の成人後は三女息子が長男に代わり当主となる」

・「龍賀製薬の社長は長女夫が続投するが、長女を会長とし、重要事項はすべて長女の決裁を仰ぐ」

というものでした。こういうお話では、絶大な権力を持つ先代が㌧デモ遺言を残さないと始まらないという側面もあるのですが、私はその後のリアルを想像してみます。

「私の取り分は!?」

と文句を言うはすっぱな二女(声を聴いただけで「YAWARA!」と分かってしまった私のダメ絶対音感・・・)については遺留分で解決を図ることができます。むしろ、登場人物の誰かの代理人になるならば、二女が一番報酬をもらいやすいかもしれません。問題は、個人財産や会社支配権の源泉たる株式について特に言及がない点です。善解して「会社株式を含めた全財産=次期当主に付随するもの」とすれば、全財産の相続人たる長男に引退及び会社運営上の制約を課したもの・・・ととれなくもありませんが、三女息子が成人して当主となる=全遺産を贈与されるまでの間、社長(長女夫)、会長(長女)も含めた会社運営に問題が生じた場合、果たして誰が責任を持った決断を下すのでしょうか。物凄く謎です。