金田一耕助「湖泥」の舞台
池松版金田一耕助を観ました。最後の「湖泥」はかなりマイナーですが、岡山ものの短編です。ずーっと大昔に祖父の蔵書を見つけて読んだけれど、中身は忘れていました。最後に真犯人を追い詰めた金田一のトラップは、刑訴における「毒樹の果実」理論的に、非常にまずいような気がするのはたぶん気のせいです。多くの作品とは違って、この作品では真犯人が死なずに今後裁判を受けるはずなので、なおさら。
そのような現世にまみれた問題点には目をつぶり、その内容はなかなかに金田一です。「金田一もの」といえば映像化される作品は大体決まっていて、それ以外の作品の完成度はやはり劣る印象があるのですが、この作品は「村の二大勢力の対立」という金田一的岡山世界そのもので、他にも「悪魔の手毬唄」「犬神家の一族」といった名作のエッセンスをいろいろ見出すことができます。
…そうなると、その舞台となった村が、リアル岡山のどこにあるのかを探索したくなる私です。原作は手元にないのですが、今は便利なインターネットがあります。wikipediaレベルで「山陽線のK駅から約1里(約4km)」と分かります。岡山県内にある山陽本線の「K駅」は、熊山、北長瀬、金光、鴨方、笠岡で、このうち北長瀬は2005年開業なので除外できます。残りはいずれも平成の大合併以前の市町村の中心駅ですが、昭和の封建色どっぷりの因習村がこれらの駅から4kmって、近すぎね?
もう少し調べてみたところ、どうやら笠岡市の尾坂池がモデルのようです。今度行ってみようかな…?